アンティークのある暮らし

アンティーク・骨董品を日常生活に活かす飾り方、使い方の提案

金継ぎ・金繕い〜それは「新たな美」

ガチャーッン!!!「あーっ!」
後悔、先に立たず。
チョットしたことで手元が狂って大事な茶碗を割ってしまった事ってありませんか?

愛用の品だと何故か捨てられず、そっと棚の奥にしまっていたりして。
私は5〜6個は隠してありますよ。
いつか金継ぎに挑戦しようと思っているので。

割れ物の救世主「金継ぎ」登場!

器の欠けや、ひびが生じれば他国の人なら即、ゴミ箱へ直行ですね。

日本では「金継ぎ・金繕い」「呼び継ぎ」という特殊な修理法が伝統技術としてあります。

古来より漆の接着技術は盛んでした。金継ぎが生まれた背景は壊れた茶道具を救うための修復法です。始まりは桃山時代の頃と考えられます。意図的な構図ではなく偶然性が創りだす「景色」を愛でた日本人のなんと奇天烈?な美意識!許容範囲がドヴァーッ!と広いのですね。

世界に自慢したいのは傷跡を醜いとせず、愛おしく思う気持でキズを「侘び」、「寂び」に昇華させたということでしょう。

その器が持つ縁やエピソードをたいせつにする日本人の心でしょうか?

西洋にも補修の技術はあります。壊れる前の姿に戻そう、傷跡を隠そうとする復元方式です。出来てしまった傷は醜いものという諦め思考なのかも知れませんね?

ところが近年、世界の人達が「金繕い」の動画を見て「日本人は凄い」キズを「景色」とする修復法に驚嘆のコメントをたくさん載せているのを見ました。世界を魅了した「寿司」のあとは「金継ぎ」が世界を席巻して物を大事にする心根が広まればステキだと思いませんか?

「金継ぎ」の美

さて、金継ぎについて語りましょう。

陶磁器の割れや欠けをつなぐのが「漆」です。漆は強度な接着材です。瞬間接着剤のない時代は漆や膠(にかわ)が活躍しました。漆直しはガラスや木製品にも使えるそうです。
漆のみで完成としても良いのですが最終仕上げに金粉を施したものを「金継ぎ、金繕い」といいます。

漆直しをした後、金継ぎ・金繕いしたもの
漆のみの直し

「銀継ぎ」の美

銀を用いれば「銀継ぎ」になります。銀継ぎは時間が経つと金属変化を起こして黒っぽい色に変化します。落ち着きのある風情は「寂び」の世界そのもの。
派手に仕上げたくないときに用います。

銀継ぎした徳利。経年によって銀色が落ち着いてきている

「呼び継ぎ」の美

「呼び継ぎ」は生来の器の破片ではなく似た形状の破片を不足部分に用いて漆で継いだ物をいいます。
似た片割れを探すのは時間が掛かるので、気長でないと仕上がりませんが、。
でも、待ち時間はワクワク時間なのかも。完成したら達成感が半端じゃないですよ。

「蒔絵加筆」の美

呼び継ぎの一種。補修部分が大きい場合、その部分をパテ上の物で埋め、仕上げに漆絵を加筆して新たな美を創り出す方法があります。
元の器に調和させつつ草花や、波や幾何学模様を遊び心満載で描き、無傷の時より美的価値を上げることが出来ます。

だからといって器をワザと壊さないでくださいね。

結論 物を大切に扱いましょう!壊さないのが一番!!

余談…。番町皿屋敷のお菊さんも割れたお皿に金継ぎをしていれば、大切な命を失わずに済んだかも知れませんね。

以上、骨董舎のお留守番でした。

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