動物たちの生きる姿を描いた骨董品
骨董品の中には、動物の姿をモチーフにしたものが数多くあります。
焼物に絵として描かれているもの、抽象的に特徴を捉えたものや精妙巧緻な細工が施されたもの…
今回はその中でも、技巧にこだわった、今にも動き出しそうな品々をご紹介します。
シンギングバード
世界で初めてディスクオルゴールを製造したドイツのオルゴールメーカー、シンフォニオン社にて製造された伝統工芸品です。
底につけられたゼンマイを回すと、内部に仕組まれたフイゴが作動し絶妙な空気量で笛が鳴ります。
その音はまるで本物の鳥のさえずりにようで、一度鳴らすだけで森の中にいるかのような錯覚に陥ります。
音に合わせて口や首を動かす、忠実に鳥の仕草を再現した精密な作りは正に至極の一品と言えるでしょう。
銀製 牛寿老人像
明治時代の彫金師である海野美盛の作品です。
牛がのんびりと歩く様子は、見ていると時間を忘れそうになるほどに写実的な雰囲気があります。
背中に乗せた寿老人の表情もどこか穏やかな感じで、牛と寿老人の組み合わせがなんともいえない優しい世界観を作り出しているように感じられます。
弛んだ皮や骨張った体躯、穏やかな表情など、まるで本物の牛から型を取ったのではないかと思うような仕上がりとなっており、海野美盛の彫金に対するただならぬ熱意をまざまざと感じ取れるようです。
木彫 鹿
新潟出身の木彫師、島田美晴の作品です。彫刻家・石川光明の弟子として彫刻の技術を学びました。
こちらの作品では、つがいの鹿を木彫で表現しています。目や口元などの表情、体の動きなどはもとより、体毛一本一本の流れが非常に細かく表現されており、相当な技量の持ち主であることがわかります。
地に伏せている雌の鹿に至っては、置くと見えなくなってしまう裏側の腹部まで緻密に彫られており、作者のこだわりが垣間見ることができます。
芝山細工 象の床飾り
日本が誇る伝統工芸の一つ、芝山象嵌が施された象の置物です。体中に鏤められた貝や珊瑚、象牙などの細かな装飾品は目を見張るものがあります。
背中に付けられた敷物にも象嵌が施され、煌びやかに仕上がっています。これほどの品を作り上げるのは容易ではなく、相当な技術が求められるでしょう。
木彫で形作られた象の表情にも注目です。重い水晶玉を高々と持ち上げながらも、その表情はまるで笑っているようです。
四分一製 山羊
昭和の彫金師・二橋美衡の作品です。二橋美衡は、先にご紹介した「銀製 牛寿老人像」の作者である海野美盛に師事しました。
造形力も豊かで芸術的着眼点も鋭く、帝国美術院展覧会において非常に高く評価されました。
こちらの品には、銅と銀の組み合わせで作られた、美しい銀灰色が特徴の「四分一」という合金が使われています。
温和で柔らかな表情の親山羊と、それを下から見上げる子山羊がとても可愛らしいです。
まだまだ暑い日々が続きますが、今回紹介した愛らしい動物たちに会いに骨董会館倉賀野店にぜひいらっしゃってください。お待ちしております。
◎骨董会館 倉賀野店
HP https://www.antiques-store.com/kuragano
群馬県高崎市倉賀野町2466-1
営業時間 10:00〜18:00 火曜定休
電話 080-7933-1122
Mail kottokaikan@shunet.co.jp