スタッフダイアリー

刀剣の研ぎ師とは? 

古好屋では、骨董品に関連する修復の相談を承っており、刀の研ぎもその一つです。
今回、ホームページのリニューアルに伴い、刀剣の研ぎ師さんの工房におじゃまして撮影をしてきました。その様子をご紹介します。

刀剣の研ぎ師という仕事をご存じでしょうか?
刀を作る人というと、刀を鍛錬し成形する刀工を思い描く人が多いと思いますが、刀には、たくさんの職人の手が関わっています。鞘を作る鞘師、刀に装飾を施す彫師、刀を研ぐ研ぎ師、鐔や縁頭や目貫など作る金工師など高い技術の結集で刀は出来上がっています。

 


研ぎ師・細村正勝さん
1969年群馬県生まれ
16年前より刀剣研磨を学び始める
公益財団法人日本美術刀剣保存協会主催『刀剣研磨・外装技術発表会』
『現代刀職展』に於いて研磨の部にて受賞歴4回(努力賞)
父・義昭さんとともに研ぎ師として、刀と向き合う日々を過ごしている。

細村正勝さんにインタビュー

研ぎ師とはどんな仕事か?

錆身や刃毀れ等姿の崩れた刀を本来の姿に戻し、美術品として刃文や地鉄の美しさを引き出すのが研ぎ師の仕事です。

研ぎの難しさ、おもしろさ、どんなときに達成感を感じますか?

砥石を当てるという事は刀身を擦り減らすという事に他ならない為、極力研ぎ減らさないよう姿を整える事が大事で一番気を使っている所です。

全身錆だらけの御刀が生まれ変わった様に研ぎ上がった時に達成感を感じます。

100年以上前に作られた刀を研ぐとは、どんな気持ちでしょうか?

長く受け継がれてきた物なので気が引き締まります。どんな人達が腰に差していたのかなとよく考えたり、歴史で習ったあの出来事の頃にこの御刀は存在したんだなぁ等感慨深いです。

今回、1時間ぐらいかけて、動画撮影とスチール撮影をさせて頂きました。
内曇(うちぐもり)という工程を見せていただきながらお話を伺ったのですが、素人の私に分かるように丁寧に説明してくださり、助かりました。
「刀の中にはいろんな働きがあって、肌を見ながら研いでいくと、肌がおきて鍛え肌がでてくる」刀の少しの変化も見逃さないように、真摯に向かいあっている姿がそこにはありました。

刀剣を表現するときの専門用語

刃文とは?

日本刀には、焼入れの際に生じる焼刃と地鉄の境目の事を刃文という。真っ直ぐなものを直刃、それ以外は乱れ刃に大別される。
直刃、直刃ほつれ、喰い違い刃、小乱れ・大乱れ、丁子乱れ、三本杉、箱乱れ、のたれ乱れなどたくさんの種類がある。

地とは?

地は鍛錬によって生まれる地の模様で、焼刃の上の木目のような模様。
杢目肌…木の木目のような小さい渦を巻いた肌合い
柾目肌…多くの直線からできた肌合い
板目肌…木の木目のような大きな渦を巻いた肌合い
梨子地肌(小杢目肌)…杢目肌より細かい地肌。梨のような肌合いから名付けられた

沸、匂いとは?

刃文は霧状の粒で構成されていてその粒が沸・匂いといわれる。沸は粒子が粗く、匂いは粒子が細かい。ほとんどの刃文は、沸と匂いが混在していて沸が多ければ沸出来、匂いが多ければ匂い出来という。

働き(はたらき)

刀を美しく見せる沸・匂いの働き。刃文や地などいたるところに現れる。
砂流し…沸が多くなってほうきではいたようになった太い筋
金筋…沸・匂いが多くなってできたキラキラ光る線
映り…刃文と鎬筋の間にある刃文が映っているように白くなっているもの
二重刃…刃文にそってある焼刃
打ちのけ…刀縁付近で三日月の様にほつれるもの

刀の用語はまだまだたくさんありますので、またご紹介したいと思います。お楽しみに。

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