骨董豆知識

江戸時代から続く柿右衛門様式と特徴

今回は、先日買取で引き取らせて頂きました色絵柿右衛門鉢についてご紹介させて頂きたいと思います。
その歴史は古く1640年代に酒井田喜三右衛門(初代柿右衛門)によって日本独自の赤絵、柿右衛門様式が創始されたと言われています、特徴的な肌の乳白色いわゆる【濁し手】と呼ばれる素地に、赤の絵付を中心として色絵の鮮やかさが海外にも人気を博しヨーロッパ各地に大量輸出されたと言われています。
その絵付けの構図の評価は高く、海外のマイセン窯などでも【シノワズリ】と言われる柿右衛門様式の文様を模した物も製作されています。


柿右衛門の見分け方

柿右衛門様式と言えば赤が一番の特徴として言われていますが、実はいくつか特徴があるようです。
こちらの縁をご覧になって下さい。
茶色の縁になっているのが分かりますよね?
これも柿右衛門の特徴の一つで錆秞(茶色に発色した鉄釉(てつぐすり)の一種)という釉薬なのですが、
柿右衛門の場合は口縁に塗られているのです。
もちろん無いものもあるので一概に言えませんが、
乳白色で縁が茶色の品物なら柿右衛門様式といえるのでもし絵付けが無くてもこの条件がそろっていれば柿右衛門様式の可能性が高いですね。

写真上の色絵鉢の高台内には何も書かれていませんが、写真下の染付皿には中心に「金」と銘があります。

色絵と染付の銘の違い

また、私は江戸時代の柿右衛門様式の色絵作品で窯印を見た事がございません。藍柿と言われる染付の作品には窯印の「渦福」や「金」の銘等様々な銘が有ります。
米のとぎ汁の様な濁手の素地に色絵が施されていて、裏を見ると銘がないのも特徴です。


西洋と日本のデザインの違い


話は変わりますが以前にこんな話を聞いた事があります(※諸説色々あるかもしれませんが)、西洋のデザインは様々な物を加える事で美しさを表現する【プラスのデザイン】、それに対して日本のデザインは【マイナスのデザイン】で、あえて描かない省くことで、一番描きたい物を誇張して表現している…。
しかし、私が考えるには、和のデザインには、鑑賞した時の状況や鑑賞者の感受性など様々な要因で想像しながら楽しめるという事で完成する美しさも狙って造り上げられているのではないかと思っています。
そんな日本のデザインの代表格として柿右衛門は、構図の大胆さと色絵・線描きの繊細さに、鮮明な赤絵が融合することによって日本だけでなく世界の人々を魅了し続け、江戸時代から現代まで栄えてきたのでは無いでしょうか?

もし、柿右衛門の作品をご覧になりたい方はこちらをご覧になってください。
https://www.antiques-store.com/?s=柿右衛門

関連記事一覧