スタッフダイアリー

高崎白衣大観音と森村酉三

群馬県人なら誰でも知っている高崎白衣大観音ですが、その原型を作った鋳金家・森村酉三を知る人は少ないのではないでしょうか?

今回、没後70年を記念して群馬県立近代美術館で「森村酉三とその時代」が開催されます。地元・群馬県出身の作家にスポットがあたることは古美術に携わるものにとって大変喜ばしいことです。弊社でも微力ながら協力させていただいております。

企画展 没後70年森村酉三とその時代

森村寿々の鶴首花瓶と作品展パンフレット

開催期間 9月21日(土)〜11月10日(日)
開館時間 午前9時30分〜午後5時
休館日  月曜日(祝日の場合は開館し翌日休館)
観覧料  一般820円、大高生410円
開催場所 群馬県立近代美術館

森村酉三の作品をはじめ、東京美術学校の師である津田信夫、香取秀真、同時期に活躍した鋳金家の作品を展示。また、森村酉三の妻として制作を助け、酉三亡き後自らも作品を制作した寿々夫人の作品も紹介します。
出展作家名
香取秀真・津田信夫・佐々木象堂、山本安曇、杉田禾堂、北原千鹿、西村敏彦、丸山不忘、高村豊周、内藤春治、北村明道、清水多嘉示、豊田勝秋、香取正彦、田中(森村)寿々

詳しくはこちら

鋳金家 森村酉三とは…

森村酉三(もりむら とりぞう)明治30年(1897)-昭和24年(1949)
群馬県伊勢崎市生まれ。酉三という名前は、生まれ年の酉年にちなんで名付けられたといわれます。
大正7年(1918)東京美術学校(現・東京藝術大学)工芸部鋳金科に入学し、帝室技芸員の香取秀真、津田信夫に師事。在学中から花瓶や燭台を展覧会に出展。卒業後は、結婚して池袋にアトリエを構え帝展や新文展に鳥や兎などの動物をモチーフとした作品を出展し、入選。昭和17年(1942)には無鑑査となります。

また、郷土からの注文製作もあり、名士の胸像や銅像なども制作しました。
昭和5年(1930)には、群馬県庁向かいの群馬会館入り口に高さ137㎝の新田義貞像が建てられましたが、これらの像は戦争中に金属供出され、現在は残っていません。

森村酉三は、旧制前橋中学時代の友人であった日本画家の磯部草丘と洋画家の横堀角次郎と三酉会を結成。群馬美術協会の設立に尽力しました。

戦後の活躍が期待されるも、病のため昭和24年(1949)52歳で他界しました。

骨董舎で販売の関連作品

〜上毛かるた〜 白衣観音慈悲の御手 

森村酉三は、昭和7年(1932)高崎市の実業家井上保三郎から高崎観音山の白衣大観音の原型の依頼を受け、昭和9年(1934)に原型を完成させました。完成作品を当時井上工業で働いていた後の総理大臣・田中角栄が自転車に乗せて運んだという逸話が残っています。

 

 

関連記事一覧