骨董舎

骨董にみられる文様 桜

日に日に暖かくなり、桜が春を待ちわびていたように一斉に咲き誇っています。
通勤の車窓から見る街路樹や庭先の草木も芽吹き、色とりどりの花を咲かせています。
そんな景色を見ると、なんだがウキウキしてくるのは私だけでしょうか。
古来の人々も季節の移り変わりを愛でていたのでしょう。着物や陶磁器、漆器、武具などには花を意匠とした文様がたくさんあります。
今回は、桜を取り上げたいと思います。

桜文様の種類

雲錦(うんきん)

雲錦

棗やお盆などによく見られる桜と紅葉が描かれた模様があります。
なぜ春と秋を一緒に?とずっと不思議に思っていました。
春でも秋でも使用できるようにしたとも言われますが、本来の目的は?
桜と紅葉が描かれた文様は
雲錦(うんきん)文様と呼ばれています。
なぜ雲錦と呼ばれるようになったか…。
命名の由来は古今和歌集といわれています。
古今和歌集は和歌の本質、起源、歴史などを述べたもの。
紀貫之は、序文に桜を雲に、紅葉を錦になぞらえた和歌を紹介しています。
「秋の夕(ゆうべ)、竜田川に流るる紅葉をば帝の御目に錦を見たまひ、
春の朝(あした)、吉野の山の桜は人麿(柿本人麻呂)が心に雲かとの見なむと覚えける」

竜田川(たつたがわ)

水面のに流れる紅葉の文様を「竜田川」、
山に桜の図を「吉野山」と呼ぶのも和歌からの由来でしょうか?

竜田川

花筏(はないかだ)

花筏

本来は、花が散って川に舞い落ち流れるさまを言いますが、
文様では木を組んだ筏が描かれます。
言葉を絵で表現する判じ絵のような文様が多々あります。

鉢の木(はちのき)

松・梅・桜が描かれた文様を鉢木(はちのき)と呼びます。
この文様は、能の演目「鉢木」に由来しています。
領地を失い落ちぶれた上野国(今の群馬県)の常世は大雪の夜、旅の僧侶を家に泊めます。
暖をとるために大切にしていた鉢植えの松・梅・桜を火にくべてもてなし、
僧侶に戦になったおりにはすぐに鎌倉にはせ参じると語ります。
その後、戦がはじまり鎌倉幕府の招集に応じた常世は、その僧侶が北条時頼であったことを知ります。
北条時頼は、大雪の夜のもてなしにいたく感激し一泊の礼にと領土を返された上、さらに梅・松・桜にちなんだ領土を与えられたというお話しです。

余談ですが
弊社がある群馬県高崎市には、「鉢の木」という老舗和菓子店があります。献上銘菓「鉢の木」~いざ鎌倉~というお菓子があり、松桜梅が意匠になっています。

桜川(さくらがわ)・桜流し

桜川

花筏に似ていますが、流水に桜が流れて行く様子が描かれた文様です。
流水が光琳波だったり渦のようだったりバリエーション豊かです。

今回紹介した品物は、骨董舎店内でご覧頂けます。
ご来店お待ちしております。

古好屋グループ 骨董舎
〒371-0023群馬県前橋市本町1-2-13煥乎堂前橋本店3F
TEL090-2660-8011
営業時間:午前10時~午後6時30分  火曜定休
https://www.antiques-store.com/kottousha

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