アンティークのある暮らし

アンティーク・骨董品を日常生活に活かす飾り方、使い方の提案

「唐草」ってどんな草?

植物の蔓が絡み合うパターンを「唐草」と呼び、
植物そのものに「唐草」という種類があるわけではありません。

唐草文様は世界中にありますが、一説では古代ギリシャの神殿に見られる唐草が最も古いと言われています。それがメソポタミアやエジプトに伝わりシルクロードを辿り日本へと伝来しました。一方、古代エジプトの睡蓮にも起源があるようでイスラム美術様式におけるアラベスク模様が関係しているそうです。

「唐草」を英語では「arabesque(アラベスク) design」といいます。エキゾチックな響きですね。

たしか1966年の古い映画でグレゴリー・ペックとソフィア・ローレン主演による「アラベスク」というサスペンス映画がありました。

唐草の主体

ヨーロッパではチューリップや百合などの草花、石榴(ざくろ)、葡萄などの果物や鳥、蝶、中国では雲や稲妻のほか鹿などの動物をモチーフにしたものがあります。早い話、主体を取り巻く空間を「つる草」で埋め尽くせば唐草模様となります。

つる性の植物は四方八方に蔓を這わせ、勢力を伸ばして生きる強い生命力が喜ばれ吉祥文様とされています。

海外では壁紙やカーテン、家具の装飾に用いています。

唐草の種類

忍冬(スイカズラ)唐草、葡萄唐草、蓮華唐草、牡丹唐草、菊唐草、宝相華(ホウソウゲ・空想上の花)唐草、蔦唐草、萩唐草、微塵(ミジン)唐草などが図案になっています。 

唐草図の用途

「唐草」は建築美術として外壁やモスクの天井、壁面装飾に見られます。また、仏教美術、彫刻、染色、織物、蒔絵、等、工芸美術でも人々に愛され多くの模様として使われてきました。一例を挙げると江戸時代の皿や蕎麦猪口などの器に唐草が描かれています。現代のラーメンどんぶりの縁の渦巻き模様が唐草だってご存じでしたか?

唐草模様の巷話

古くは細やかな唐草模様が普通でした。時代が下るとアレンジが進みグリーンに大きな白ぬきの唐草模様が出現。この模様は巷で大流行り。獅子舞いのかぶり布が有名ですね。また、手ぬぐいをほっかむりした泥坊様専用の大風呂敷として調法されました。何故かというと町のあちこちで見かけられる柄なので泥棒が荷を背負っていても怪しまれなかったからだそうです。当時のドロボーさんは流行に敏感だったのですね。お見それしました!

アメリカの作家、ルイーザ・メイ・オルコットによる自伝的小説「若草物語」は名作ですね。愛情深い四人姉妹の青春が見事に書かれています。どなたかドロドロに渦巻くシッチャカメッチャカに絡み合った人間模様を題材にした「唐草物語」を書いてくれないかなー。

以上、#骨董舎のお留守番でした。

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